東海林 藍
東海林 藍 助教
【研究室】
2号館3階 B36研究室
【専門分野】
保健学
【担当科目】
ゼミナールⅠ、基礎生活支援技術Ⅱ、介護実習総合演習Ⅳ
【略歴】
東北福祉大学 総合福祉学部 社会福祉学科 卒業
【学位】
博士(保健学)
【保有資格】
介護福祉士、社会福祉士、一般社団法人フットヘルパー協会フットヘルパー講師、介護教員講習会修了
介護福祉士は可能性に満ち溢れている
社会から求められる介護福祉士
私は介護福祉士ですが、本学で教員になる前は高齢者を中心に訪問で足の爪を切る仕事(フットケア)をしていたという異色の経歴の持ち主です。必ず介護福祉士でなければならない仕事というわけではありませんが、介護福祉士の視点をもって仕事ができていたのは私にとって大きな強みでした。高齢社会の日本において、高齢者を対象とした仕事はたくさんあります。すなわち、介護福祉士の専門性を活かす場がたくさんあるということです。ぜひ、高齢者ケアのプロフェッショナルとして社会で活躍できる人間になってください!
やってみなくちゃわからない!
主な経歴・研究業績
●経歴
・平成20年9月~平成25年 3月 有限会社 和幸 温泉デイサービス霞桜の湯 勤務
●著書・学術論文等
・「高齢者施設のフットケアにおける靴の適正使用の重要性」(平成29年12月、日本整形靴技術協会雑誌 2)
老人ホームなどの高齢者施設では,生活全般に関する介護を中心としたケアの提供が行われている.しかしフットケアに関するサービスの提供は必ずしも充実しているとは言えない.実寸よりも大きいサイズの靴を使用し,靴内で足が前滑りすることによって足趾全体が靴のトゥ形状となり爪も変形を呈していた.フットケアを実施し適切な靴使用を援助したところ改善が認められた.
・「通所型介護施設利用高齢者の足爪の状態と靴選定の関係性」(平成30年12月、日本整形靴技術協会雑誌 3)
高齢者の靴のサイズ選定に足爪のトラブルが影響を与えているのかを明らかにすることを目的とし,通所介護施設利用者30名(女23,男7),平均年齢88.9±5.8歳の自立歩行可能な者(杖等使用者含む)を対象とし,足型寸法,施設内で使用中の靴サイズ,爪の状態(巻き爪と肥厚)を調査した.高齢 者がかなり大き目の靴を選定している事実と,足爪に問題を抱える高齢者の多さを明らかにするものとなった.
・「JIS靴サイズの足囲・足幅サイズ両方から検討する高齢者の靴」(2019年 12月、日本整形靴技術協会雑誌 4,31-34)
靴のJIS規格のサイズ表には足囲と足幅の表記があり両方からサイズを抽出しサイズの検討を行った.検討に際して,高齢者施設において多く使用されているEEサイズのバレーシューズに代表されるスリッポンタイプの靴を使用している高齢者に絞って使用サイズと靴と足の適合の状態を確認した.足囲で抽出したサイズではEEE以上の足は24足中2足しかなく,足幅で抽出すると8足まで増え,足幅から得られるサイズも考慮する必要性が示唆された.
・「通所型および入所型高齢者施設における利用者の履物調査」(令和2年12月、日本整形靴技術協会雑誌 5)
高齢者の通所施設(デイサービス)の利用者31名と入居施設(サービス付き高齢者住宅)の利用者30名の現用の履物を調査し,異なる施設形態における違いを考察した.通所施設では「上履きを履く」という認識から靴タイプの履物が使用され,入居施設では生活の場であることから着脱が容易なスリッパ等の履物が使用されているのではないかと推察した.これらの履物は高齢者に最適な履物ではなく履物への意識向上が必要である.
・「靴の圧迫による小趾肥厚爪の機序と改善の考察 -フットケアと適切な靴使用によるアプローチ-」(令和2年12月、日本整形靴技術協会雑誌 5)
爪の代表的な役割は指先を保護し把持力を増強させることであり,小趾には歩行時に足の外側から母趾側へ重心を移動させる,足幅を広げバランスをとるなどの重要な役割があり,正常な爪の状態であることは重要である.靴の圧迫による小趾の肥厚爪をケアしたことに加え,適切な靴の使用を指導したことで正常な爪に改善したケースを紹介しながら,靴の内振り設計と内反小趾にも着目して肥厚爪形成について考察した.
・「痛みを明確に訴えることができない認知症高齢者のフットケアの重要性」(2021年 12月、日本整形靴技術協会雑誌 6,29-32)
高齢者施設に入所中の認知症を有する高齢者で足の痛みを訴えるも明確に状況を訴えることができず対応に苦慮していたがフットケアと適切な靴の交換を行い,痛みの訴えはなくなり歩行速度の改善もみられた.認知症高齢者は自分の異常を明確に訴えられないという問題があるため,医療・介護スタッフによる全身状態の観察が必要不可欠であり,特に負荷のかかり続けた足部や靴の観察,および爪・足趾などのフットケアが重要であると示唆された.
・「軽度変形性股関節症による脚長差と後脛骨筋腱機能不全に対するパッド調整」(令和4年5月、靴の医学 35(2))
右臼蓋形成不全を指摘され,右変形性膝関節症により積極的な治療対象とならない4mmの脚長差があった.介護職への転職により運動負荷量が増加したため右股関節と左長脚の内果周囲に疼痛を訴えた.脚長差に対する代償動作として左長脚を外反しており,後脛骨筋腱機能不全(PTTD)が疑われた.このため右短脚に踵補高パッドと左長脚に内側ウェッジを設定したところ疼痛は軽快した.
・「高齢者介護における臥床から車いす,立位,歩行への移行段階時に選択する最適な靴サイズの推測方法」(令和5年12月、日本整形靴技術協会雑誌8)
在宅高齢者とGHに入所中の高齢者の足爪の長さと、巻き爪の保有率について比較した。在宅では、巻き爪のものは少ないが爪を切りすぎている傾向にあり、GHでは爪が伸びすぎ、巻き爪の保有率も多かった。在宅では、爪切りを自分でできているが、視力の問題や巧緻性動作能力の低下、また爪切りに関する知識不足により爪が短すぎると推測した。しかし、活動量が多いことから巻き爪は少なかったと考えられた。GHでは爪切りは職員が行っており、ケアが行き届いていないことなどが考えられた、また伸び過ぎが巻き爪につながっているとも推測された。
使用している室内履きのかかと部の足と履物の隙間の長さを計測し、足型と靴内部をトレースをとった。トレースをかかと部の隙間を考慮して重ね合わせ、履物内での足の状態を推測した。これにより、12名中9名が足趾に履物の影響を受けていることが判明した。よって、履物による影響で巻き爪が助長されていることが示唆された。
巻き爪を有する者1名に対し、約1年間にわたり介護保険外サービスによるフットケアを実施し、爪の長さを指先と同程度の長さに継続的に保つことで巻き爪の改善につなげた。介護の現場では爪と皮膚を分ける作業が一般的ではなく、爪と皮膚の境目を判断できず、適切とされる長さよりも長めに切っていることが考えられ、この作業が一般化されることが必要であることが示唆された。
●学会および社会での活動
【社会での活動】
令和2年4月~令和4年3月 第17回日本整形靴技術協会学術集会 実行委員